起業家や経営者はもちろん、一般的なインターネットユーザーでも、ドメイン履歴を調べる方法を知っておくと便利です。ドメイン履歴からさまざまな情報を簡単に得ることができ、ドメイン選びに役立てることができます。
この記事では、ドメイン履歴とは何か、ウェブサイトに与える影響、またドメインの運用履歴の重要性と調べ方をわかりやすく解説します。これからドメイン取得をする予定の方や、中古ドメインの購入を検討している方はぜひ参考にしてください。
ドメイン履歴とは?
ドメイン履歴とは、ドメインがこれまでどのように運用されてきたかを記録したものです。ドメイン履歴を確認することで、以下のような情報を知ることができます。
- レジストラ(ドメイン登録会社)名
- 登録ドメインのDNSサーバー(ネームサーバー)
- 現在の所有者がドメインを登録した年月日
- ドメインの更新年月日
- ドメインの有効期限
- ドメイン登録者に関する情報
ドメインを取得する際に、これらの情報を確認しておくことで、その後の運用戦略に活かすことができます。検索結果に表示されない、といったトラブルを避けることにもつながるのでチェックしておきましょう。
ドメイン履歴は、中古ドメインと関連付けられることが多いですが、新規ドメインを取得する際にも確認しておくべき記録です。その理由は、新規ドメインを取得したつもりが、実は過去に利用されていたドメインだったということがあるためです。新規ドメインを取得する予定の方も、一度はドメイン履歴を確認することをおすすめします。
なぜドメイン履歴は重要なのか
ドメイン履歴を確認することで、ウェブサイト上には掲載されていない情報を得ることができます。ドメイン履歴が重要である理由を具体的に見ていきましょう。
競合調査に役立つ
ドメイン履歴の確認は、競合調査の一環として行われることがあります。競合他社のホームページやウェブサイトのドメイン履歴を調べることで、ドメインがいつから存在しているのかや、売却されたことがあるかどうかを知ることができます。ドメイン履歴は、ドメインの価値を評価するときにも利用されるため、履歴データや被リンク数などに基づいて、ドメインの価値を予想することができます。
被リンク数が少なかったり、検索エンジンからの流入数が少なかったりする場合は十分なSEO対策が行われていない可能性があります。また使用するツールによっては、どのようなキーワードからの流入が多いかを調べることができ、競合他社が対策をしていないキーワードを活用して、検索上位を狙うことも可能です。
中古ドメインを取得する際の判断材料になる
中古ドメインとは、過去に他者が取得・使用していたドメインのことで、「オールドドメイン」とも呼ばれます。取得したいドメインが中古である場合は、取得前にドメイン履歴を調べましょう。中古ドメインの運用履歴を見ることで、検索エンジンにどのように評価されているかや、運用されてきた年数を知ることができます。
例えば、過去に運用されていた時の被リンクが残っていたり、ドメインエイジ(ドメインの運用年数)が長かったりすると、検索エンジンから評価されやすいというメリットがあります。しかし一方で、中古ドメインに悪い評価がついている場合には、その評価が引き継がれることに注意が必要です。購入したドメインがGoogleからペナルティを受けており、検索結果に表示されない、といったトラブルもあります。
ドメイン履歴のセクションでも言及したとおり、新規ドメインを取得したつもりでも、実際には中古ドメインだったという場合もあります。契約更新が行われなかった場合に、空きドメインとして、新規ドメイン登録ができる仕組みがあるためです。そのため、新規ドメインの取得を検討している場合でも、ドメイン履歴の確認をしておくと安心です。
既存サイトを購入する際の判断材料になる
ドメインだけでなく、既存のサイトごと購入することを検討している場合にも、ドメインの運用履歴は一つの判断材料になります。売りに出されているサイトの運用履歴を調べることで、ドメインが販売された回数やサイトの評価を知ることができます。
サイト売買(M&A)においては、安定したサイト訪問数があり、サイトの評価がよい場合は検索エンジンで上位に表示されやすく、集客やマーケティングに必要となる時間や費用を節約できます。既存サイトの購入を検討している方は、ドメイン履歴の確認を忘れずに行いましょう。
サイト所有者に連絡できる
サイト所有者と連絡を取りたい場合にも、ドメイン履歴が役立ちます。ウェブサイト上にサイト所有者の情報が公開されているとは限らないからです。コンタクトフォームから連絡をしたのに返信が来ないときにも、運用履歴から連絡先を特定できる可能性があります。
セキュリティ対策に役立つ
運用履歴を調べることで、詐欺やスパムに関する情報を得ることも可能です。ドメインエイジの長い中古ドメインを購入したにもかかわらず、「Googleからの評価が悪く、検索結果に表示されない」、「ペナルティを受けている」といったケースは少なくありません。こういったドメインを購入しないためにも、一度はドメイン履歴を確認しておきましょう。
また、取引を検討している企業のドメイン履歴を調べることで、ウェブサイト上での活動履歴を把握し、過度なマーケティングを行っていないかどうかを確認することができます。
WHOIS(フーイズ)を使ったドメイン履歴の調べ方
ドメイン履歴を調べるには、WHOIS Lookup(フーイズルックアップ)がおすすめです。
WHOIS(フーイズ)とは
WHOISとは、ドメインとそのドメイン購入者の名前や住所などの情報を紐づけたものです。WHOISの情報は、The Internal Corporation for Assigned Names and Numbers (ICANN)という非営利公益法人が管理を行っており、誰でも閲覧可能です。WHOIS Lookupを使えば、データベースに登録されているドメインの情報を簡単に取得できます。
組織や企業の場合、WHOISに連絡先等が掲載されている場合がありますが、個人の場合は、個人情報を閲覧されないように、連絡先を非公開にするオプションを選択できます。この場合は、ドメインを登録した業者の情報が公開されます。ドメインに関するトラブルにおいて、この情報が解決の糸口となることがあります。
WHOIS Lookupに表示される内容は、ドメインの基本情報と運用履歴の二つに大別できます。ドメインの基本情報では、ドメインが現在使用されているかどうか(ステータス)、レジストラの名前とURL、連絡先、登録年月日、更新年月日、有効期限などの情報を確認できます。ドメインの運用履歴には、これらの情報に加えて、過去にドメインを所有していた個人や企業の情報、使用されていたサーバーやレジストラなどの情報が含まれます。
WHOIS(フーイズ)を使ったドメインの基本情報の調べ方
ドメインの基本情報を調べる手順は上記のとおりです。詳しく見ていきましょう。
1. WHOIS検索サービスを見つける
WHOIS検索サービスは、ShopifyのWHOISドメイン検索がおすすめですが、多くのドメイン登録会社も類似の検索機能を提供しています。
2. ドメイン名を検索窓に入力する
今回は「shopify.com」を例として、検索窓に入力しています。
3. 結果を確認する
すでに使用されているドメイン名のため、「登録済み」という文言とともに、ドメインの基本情報が表示されます。上の画像にあるとおり、レジストラはMarkMonitor(マークモニター)、ドメインの登録年月日は2005年3月11日であることなどがわかります。
WHOIS(フーイズ)を使ったドメインの運用履歴の調べ方
ドメイン運用履歴の調べ方は上記のとおりです。ドメインの基本情報の調べ方と同じ手順を踏みます。
1. 運用履歴の検索サイトを選ぶ
まず、運用履歴の検索サイトを選びます。主なドメイン運用履歴検索サイトは以下の通りです。
- WHOIS History Lookup(フーイズヒストリールックアップ):最新の3件のWHOIS履歴を閲覧でき、それ以前は更新日のみが表示されます。さらに遡って検索したい場合は、アカウントの作成が必要です。
- WhoISrequest(フーイズリクエスト):シンプルで使いやすいドメイン運用履歴検索サイトです。
- WHOXY(フークシー):ドメイン基本情報とドメイン履歴の検索だけでなく、企業名やメールアドレスからドメイン名を検索することもできます。
- domainIQ(ドメインアイキュー):ドメイン履歴の検索や企業名・メールアドレスでの検索ができ、メールアドレスを登録すると情報を閲覧できるようになります。詳細情報を閲覧するには有料プランへの登録が必要で、ドメイン所有者が変更された場合に通知が来るように設定するなど、さまざまな機能があります。
2. ドメイン名を検索窓に入力する
運用履歴を知りたいドメイン名を入力します。使用するサイトによっては、企業名やメールアドレスで検索することもできるので、競合調査にも活用してみてください。
3. 結果を確認する
ドメインの所有者が変わったことがあるか、所有者が頻繁に変わっていないか、といった情報を確認します。
Wayback Machine(ウェイバックマシーン)でドメイン履歴を調べる
Wayback Machine(ウェイバックマシーン)は、Internet Archive(インターネットアーカイブ)のサービスで、ドメイン履歴を調べることもできます。このサービスは、インターネット上にあるウェブサイトの履歴を保存して、ユーザーが閲覧できるようにしたもので、ドメイン名を検索して過去の更新情報などを知ることができます。
ウェブサイト全体のアーカイブを定期的に記録しているため、すでに閉鎖されたサイトや、サイトリニューアルが行われる前の状態を確認することもできます。中古ドメインの場合は、以前の所有者がどのようなサイトを運営していたのかを遡って確認することも可能です。
現在公開されていない企業の連絡先の電話番号やメールアドレス、所在地などの情報を確認できる場合もあります。また、ウェブサイトに含まれる画像やテキストの割合、サイトマップ、更新頻度などの情報も見ることができ、競合調査にも役立ちます。
Wayback Machineを使ったドメイン履歴の調べ方
1. Wayback Machineのサイトにアクセスする
Wayback Machineのウェブサイトにアクセスします。
2. 調べたいサイトのドメイン名を検索窓に入力する
ページ上部の中央にある検索窓に、調べたいサイトのURLやドメイン名を入力します。
3. カレンダーの色がついている日付の中から、閲覧したい日を選んでクリックする
アーカイブが記録された日付には色がついています。カレンダーからアーカイブ記録を見たい日付を選んでクリックすると、その日に記録されたサイトを閲覧することができます。
その他のドメイン履歴を調べる方法6つ
ドメイン履歴を調べる方法は、他にもいくつかあります。専門知識がなくても、簡単に調べられる方法を6つご紹介します。
1. Googleで検索する
Googleなどの検索エンジンでドメイン名を検索すると、そのドメインに関する情報が見つかります。普段使い慣れている検索エンジンを使って調べられるので、誰でもすぐにできる方法です。調べる際には、ドメイン名の前に「site: 」を付けてください。Googleにインデックスされているサイトのみが表示されるため、ブラックリストに登録されているサイトは検索結果に表示されません。
2. SNSで検索する
InstagramやFacebook、TikTokなどのSNSでサイトのドメイン名を検索してみましょう。SNS上での注目度を予測できたり、サイトに関する話題が見つかったりします。検索エンジンに表示されないサイトの場合は、この方法でユーザーの評価や口コミを閲覧することができます。
3. 関連コミュニティで質問してみる
購入を予定している中古ドメインがあれば、その業界に関連するコミュニティで質問してみましょう。必ずしも関連コミュニティがあるとは限りませんが、存在している場合は、ネット検索では見つけられない情報を入手できる可能性があります。Slack(スラック)やDiscord(ディスコード)でコミュニティが形成されていたり、SNSでグループが作成されていたりすることもあります。
4. Moz Domain Analysisで調べる
Moz Domain Analysis(モズドメインアナリシス)は、ドメイン名に関する情報を集めて評価するツールで、SEO対策ツールとしても有名です。被リンク数を調べられたり、キーワードに対するクリック数の予測ができたりと、豊富な情報を得ることができます。特に注目したいのは、ドメインオーソリティ(ドメインパワー)の数値です。この数値が高いほど、検索エンジンで上位に表示される可能性が高くなります。スパムスコアが高い場合は、購入に適さないドメインであると言えるでしょう。
5. 被リンクを調べる
被リンク(バックリンク)を調べることで、ウェブサイトの評判やレビューが見つかることがあります。SNSからの被リンクが多い場合は、SNSマーケティングに活かせるかもしれません。被リンクを調べるには、以下のようなSEO対策ツールがおすすめです。
6. ブラックリストチェックツールで調べる
購入を検討しているドメインがブラックリストに入っていないかどうかをチェックツールで確認しましょう。ブラックリストに入っている場合は、検索エンジンの検索結果には表示されないため、サイトからの集客が見込めません。ブラックリストに載っているドメインは、スパムサイトからの被リンクや、スパムサイトへの外部リンクがある危険があります。
以下のようなブラックリストチェックツールを使って、購入希望のドメインがブラックリストに載っていないことを確かめることをおすすめします。
- aguse.jp(アグスジェーピー)
- Site Safety Center(サイトセーフティーセンター)
まとめ
ドメイン履歴には、多くの情報が含まれています。これらの情報は、新規・中古ドメインの購入時だけでなく、サイト所有者と連絡を取りたい場合や、競合他社の分析、セキュリティ対策にも役立ちます。
ドメインの運用履歴を調べるには、まず分析サイトを使って情報収集することをおすすめします。ドメイン履歴を検索できるサイトは数多くあるので、あなたに合ったサービスを見つけて活用しましょう。
また、GoogleやSNSを使って検索をしたり、コミュニティで質問したりするのも効果的です。調査には時間と手間がかかることもありますが、ドメインの評判や評価を把握するために必要な投資です。「新規ドメインを購入したつもりが中古ドメインだった」「購入した中古ドメインがブラックリストに入っていて、ドメインを取り直すことになった」といったトラブルを避けるためにも、ドメイン履歴を忘れずに確認しましょう。
ドメイン履歴に関するよくある質問
中古ドメインとは?
中古ドメインとは、過去に誰かが使用していたドメインです。
ドメイン履歴とは?
ドメイン履歴とは、ドメインがこれまでどのように運用されてきたかに関する記録です。「ドメイン運用履歴」とも呼ばれます。
ドメイン履歴を無料で調べる方法は?
ShopifyのWHOISドメイン検索を使えば、無料でドメイン履歴を調べることができます。使い方は、ドメイン履歴を知りたいドメイン名を検索窓に入力して、検索ボタンをクリックするだけです。他のドメイン登録業者のウェブサイトでも検索することが可能です。
ドメイン履歴を調べる重要性は?
ドメイン履歴を調べることで、競合他社のウェブサイトの情報を得ることができるので、競合調査に役立てることができます。また、中古ドメインや既存サイトの購入を検討している場合にも、安心して購入できるかどうかの判断材料になります。サイト運営者と連絡が取れない場合には、運用履歴から連絡先を特定できる可能性もあります。また、運用履歴からスパムや詐欺などに関する情報も確認できるので、セキュリティ対策に活かすことができます。
新規ドメイン取得でもドメイン履歴を確認するべき?
新規ドメインを取得する場合でも、ドメイン履歴を確認することをおすすめします。登録期限を過ぎても更新されなかったドメインが新規ドメインとして販売されていることがあるためです。過去に誰かが使用していたドメインは、検索エンジンから一定の評価を受けている可能性がありますが、詐欺やスパムサイトと認識されていた場合は、検索結果に表示されないリスクがあるので注意しましょう。