視聴者とやり取りしながら配信できる、Instagramのライブ配信機能「インスタライブ」の、やり方や実際の企業の利用例などを紹介します。
インスタライブを活用して、ブランドの強化や売上の向上を図りたい方は、参考にしてください。
目次
インスタライブとは
インスタライブとは、Instagramのライブ配信機能のことです。ユーザーがリアルタイムで動画を配信できる機能で、視聴者と直接交流することができます。
Instagramアプリ内の「ストーリーズ」で配信を開始でき、配信を始めるとフォロワーに通知されます。
インスタライブのやり方
- Instagramのアプリを開き、画面の下にある四角に囲まれた「+」をタップ
- 次の画面の下部に表示されるメニューを左にスワイプし「ライブ」をタップ
- 配信タイトルや開始日時、公開範囲を設定
- 画面下部中央の◯の形をした配信ボタンを押す
配信にあたっては、次の制限に留意してください。
- 一度に配信できるのは最長4時間(延長はできないが、すぐに次の配信をすることは可能)
- フレームレートは30フレーム/秒(スマートフォン自体がそれ以上に対応していても設定不可)
- 動画の縦横比9:16(閲覧側のデバイスの縦横比が異なる場合があります)
- 画面解像度は720p
- Instagramのコミュニティガイドラインに則っていること
インスタライブを活用して売り上げを伸ばすには
1. テーマを決める
生配信が盛り上がらない大きな要因として「何を話せばいいか分からない」点が挙げられます。プロモーションに加えて、商品の応用的な使い方や、その他日常での具体的な使用例の紹介、商品にまつわるエピソード、あるいは出演者にまつわることなど、テーマを決めて話してみましょう。焦点がしぼられると、配信者同士のトークも盛り上がりやすくなり、商品の魅力をより具体的に伝えることができます。結果として、視聴者の興味やフィードバックをより多く集められるでしょう。
なお、どのような質問が寄せられるか、あらかじめ関係者や家族など身近な第三者の意見を聞いておくと、予測不能な事態への対応が減るでしょう。例えば「社長が視聴者からの質問に何でも答える」というテーマなら、社長自身が気に入っている製品や、会社の雰囲気について、座右の銘といった個人的信条についての質問が寄せられるかもしれません。
2. 配信日時を固定する
定期的、かつ頻繁な配信は視聴者獲得の鍵です。不定期より、定期的な配信の方が、視聴者も予定を合わせやすいからです。さらに、配信でアピールしたい層がアクセスしやすい時間帯を選びましょう。例えば、早朝から午前9時頃までは通勤や通学のため、電車内でスマートフォンと向き合っている人が多い時間帯です。学習や作業効率の向上に適したアイテムを短時間でアピールするのに向いているでしょう。この時間帯は視聴者が少ないとの調査結果もあり、これから配信を始めるなら新規リスナー層を開拓するチャンスです。逆に最も視聴者が多いのは20時から23時です。一日の予定を終えてくつろいでいる人が多く、そのため視聴率競争が激しい時間帯です。毎回、話題性を確保したり、豪華なゲストを迎えたりするなど、相応の工夫が必要になるでしょう。
なお、企業が生配信する場合は、潜在視聴者層が休んでいる日や時間帯を選ぶことが重要になるため、インスタライブの担当スタッフには配信に適した勤務条件を用意し、継続的に配信できるようにしましょう。
3. ゲストとコラボする
自社が展開する業界の製品の愛好家で、すでに動画を配信しているインフルエンサーがいればコラボ(協働)を依頼しましょう。新製品の試作品を配信内で試用してもらうのも手です。既に多くのフォロワーを持つインフルエンサーを巻き込めれば、インスタライブに一定の視聴者を確保できます。
外部の協力者を呼ぶ場合は、視聴者からの想定問答集などのリソースをできるだけ共有しておきましょう。
なお、インフルエンサーに報酬を渡した事実を伏せて配信内で自社製品を褒めてもらうなどのステルスマーケティングは、単に法律違反だけでなく、ブランドイメージの失墜に繋がります。その点は注意しましょう。
4. モデレーターを追加する
インスタライブには、視聴者より予想外の質問が寄せられることもあります。適切な時間配分や、意図した通りの方向に話題を持っていくために、進行役(モデレーター)を追加しましょう。
モデレーターを指定するには、ライブ画面の下にある「・・・」をタップして「モデレーターを追加」を選びます。モデレーターは、フォロワー以外から選ぶこともでき、視聴者には誰がモデレーターかは見えません。
不適切な発言などで配信を妨害しようとする悪質な視聴者を、強制退場させる権限やコメントを非表示にすることができるので、いわゆる「荒らし」が出た時にスムーズに対応できます。
また、トークに熱中していると、視聴者からの質問を見逃してしまう場合があります。これを防ぐためにも、モデレーターとしての権限の有無に関わらず、配信に積極的に参加せず、コメントを確認する進行役を指名しておくようにしましょう。
5. 購買への導線をシンプルにする
生配信は楽しいものですが、主目的はブランドイメージや売り上げの向上に繋げるためであるのを忘れてはいけません。配信では適切なタイミングを見計らい、必ず商品を購入する為の分かりやすい導線をアピールしましょう。InstagramとShopifyは簡単に連携できます。他にもプロフィールで新製品をアピールするなど、工夫してみましょう。
6. 配信後のフォローをする
生配信の行為自体が「インスタライブでのプロモーションの全て」ではありません。以下の点について、視聴者からのフィードバックを募りましょう。
- 配信が途切れたり、見づらかったりする部分は無かったか
- 配信中、最も面白かった部分はどこか(最もつまらなかった部分は聞かれても覚えていないか、見ていないことが多いので聞いても答えられず、困る人がいる点に留意しましょう)
- 次回の生配信で希望するテーマは何か
視聴者にInstagramのダイレクトメッセージ(DM)機能でお礼をするついでに、上記を質問しても良いでしょう。また、視聴者限定クーポンなどの限定特典を送ると、口コミで広まって次回の視聴者が増えるかもしれません。
配信スケジュール上、寄せられた質問に満足に答えられていない場合は、ストーリーズに謝罪と共に補足説明を残しておくと、アフターフォローがきめ細かいという印象を残せます。
配信した動画は、アーカイブという機能を使ってInstagram上に配信後30日間保存できます。期間が限られているため、配信した映像を自社広告などで再利用したい場合は、ライブ配信終了後に動画をダウンロードして保存しておきましょう。
7. 視聴者層を分析する
Instagramは、「インサイト」という、自分がどのような層にアクセスされているかを分析するツールを提供しています。ビジネス用アカウントであれば誰でも利用できますが、フォロワーが100人以上でない場合はフォロワー全体の傾向を確認できないなどの制限があります。インサイトではさまざまな指標を閲覧できますが、中でも特に注目すべきは次の指標です。
ピークの同時視聴者数
最大同時視聴者数と、自分のフォロワーの差に注目してください。差が大きい場合、多くの視聴者が自分をフォローしていない、すなわち見込み客が多いことを意味します。この差が縮まれば、配信の固定客が増えたと解釈して良いでしょう。
エンゲージメント
エンゲージメントとはこの場合、どれだけの視聴者が「いいね」などのアクションを起こしたかを指します。エンゲージメントが低かった場合、配信していても実際に見ている人や、面白いと思っている人が少なかったことを意味します。
インスタライブのネタ5つ
1. よくある質問
商品の個性やこだわりがどこから来ているのか興味を持つ人はいるでしょう。質問の対象は、社名やロゴの由来、ライブ配信でなければ言えない創業者の私生活にまつわることなど、多岐に亘ります。原価、製法、その他の企業秘密など、他言が許されない項目については、必ず関係者の間で共通の認識を持っておきましょう。
2. チュートリアル
商品の使用方法のチュートリアルとなるように、実際に使っているところを見せる配信も良いでしょう。インフルエンサーを招き、実際に商品を使ってもらっている様子や、その感想を配信するといったアイディアも考えられます。なお、同業他社の製品を用いた比較広告は禁止されてはいませんが、自社の製品が有利であると誤認させるのは景品表示法違反です。自社商品の比較に他社製品を用いるのはやめましょう。
3. 開発秘話
商品が生まれた背景にはどんな人間ドラマがあったのか、ファンであれば誰しも気になるものです。製品化までにどのような案が比較検討されたのか、コストや原材料の選定でどんな苦労や失敗があったか、当事者からうまく話をひきだせれば、視聴者の興味をひく配信になります。
4. Vlog(ブイログ)
インスタライブをシリーズ化して、視聴者を巻き込んだ動画ブログにしてみましょう。配信当初はどれくらいの視聴者がいたのか、その後それがどう増減したのか、そして今回はどのような変化が期待できるのかなどを毎回追えれば、視聴者にとって興味深いドラマになり得ます。
5. 失敗談
製品化に失敗してしまったアイデアを、ライブ限定で公開してみてはどうでしょうか。売れるはずがないと製品化を中止したものに意外と反応があったという場合もあります。あるいは視聴者の視点から、開発中止が英断だったと分かったというケースもあり得ます。売り出しては見たものの、さっぱり売れなかった商品を笑い話として紹介したとしても、視聴者は成功に必要な経過だったと理解してくれるでしょう。
企業がインスタライブを利用するメリット
企業にとってインスタライブを利用するメリットは、自社の商品やサービスについて、直接ユーザーと双方向のコミュニケーションをとりながら宣伝できる点です。商品紹介の最中に視聴者の生の反応が得られ、場合によってはその場で配信者が使い方を見せることができます。
インスタライブを使ってライブコマースを行う事例も徐々に増えています。ある企業は自社製の食品を使った調理例を配信し、その場に参加した視聴者の意見を反映させて、売り上げの向上に役立てています。
また、既存顧客にコメントでレビューや体験談を語ってもらうことで、新規顧客への製品アピールになるといったメリットもあります。もちろん、あまり好ましくないコメントは、配信者側である程度コントロールできます。
企業のインスタライブの実践事例
着こなしを魅せるCOHINA(コヒナ)
女性用のファッションブランドであるCOHINAでは、スタッフが新製品の紹介や、ファッションの着こなし例を毎日インスタライブで配信しています。連続配信日数は1,300を超えており、この数字は同社へのインタビューでアピールポイントとして紹介されています。配信内では、視聴者から過去製品について再販依頼のコメントがされた際の対応などもしています。
インテリアを魅せるLOWYA(ロウヤ)
インテリアブランドのLOWYAではインテリアを部屋に応用した事例をスタッフがインスタライブで紹介し、製品の取り扱い方など、視聴者から受けた問い合わせについてスタッフが対応しています。配信内では人が住む空間に同社製品がどのようにマッチするかを表現しており正に「百聞は一見に如かず」の一言です。インテリアブランドならではのインスタライブの活用方法と言えます。
使いこなし方を魅せる日本HP(にほんエイチピー)
パソコンやプリンターなどその他周辺機器を製造、販売している同社は、ブロガーやお笑い芸人、コスメブランド経営者など、異業種に勤めている同社製品の利用者とコラボし、「ノートパソコンの機能を使ってどのように効率的にパフォーマンスを出せるか」といったテーマでインスタライブを行いました。同社のインスタライブを視聴した中には、配信をきっかけに購入を決めたとコメントした人もいました。
まとめ
インスタライブの使い方や仕様、売り上げに役立てる上での条件、利用時の注意についてまとめました。インスタライブを活用して、視聴者からのリアルタイムな反応をブランドイメージや売り上げの向上に役立てましょう。
よくある質問
インスタライブとライブコマースの違いは?
「ライブコマース」は生配信を利用した「物販の手段」であるのに対し、「インスタライブ」はInstagramというプラットフォームに限定された「動画を生配信する機能、行為」を指します。インスタライブは必ずしも何かを販売するための手段ではなく、さまざまな動画配信者が多様な目的で配信しています。インスタライブという「動画配信の機能、行為」がより広義のライブコマースという「物販の手段」の一つとして使われている、と考えると良いでしょう。
ライブコマースの手段としてインスタライブを選ぶメリットは?
ライブコマースの手段としてインスタライブを選ぶメリットには、まず料金があります。インスタライブでは、基本的に無料で配信を行うことができます。LINE用のビジネスアカウントやライブコマース特化型配信プラットフォームは有償です。YouTubeのビジネスアカウントは無償ですが、チャンネル登録者数が1000人未満の場合、同時に視聴できるユーザーの数に制限が設けられる場合があり、使い勝手が比較的悪くなります。
また、インスタライブはほかのプラットフォームと比較して配信開始までの手間が少ないのもメリットとして挙げられます。
インスタライブの見方は?
インスタライブが開始されると、フォロワーの画面のインスタフィード上部では、配信者のプロフィールアイコンが「ライブ」という文字と共に通知されます。フォロワーはアイコンをタップ、またはクリックすることでインスタライブを視聴できます。なお、インスタライブを視聴するには、配信者をフォローしている必要があります。
インスタライブに必要なものは?
インスタライブを配信するのに最低限必要なのは、Instagramのアカウントと、撮影および配信するためのスマートフォンのみです。ビジネスとして顧客に好印象を残したければ、予算に応じて撮影用のカメラや照明、収録用のマイク、見栄えのするロケーションなどを検討しましょう。
また、顧客分析のためには「インサイト」という別アプリをInstagram公式が提供しています。ただし、同アプリには「90日のデータ保管期限」という制約があります。それが不便な場合はサードパーティーが提供している別のツールの利用を検討しましょう。
インスタライブの視聴率を維持するには?
フォロワーに継続的に配信を視聴してもらうには頻繁な更新が必要です。投稿のネタに悩むこともあるでしょうが、あくまで売り上げ向上のためのマーケティングの一環として運営する以上、耳目を惹けば何をしても良いわけではありません。Instagramに投稿すべき内容とタイミングについて慎重に吟味し、複数人で運用する場合は、投稿基準について共通のガイドラインを作成しましょう。