TikTok広告は、若いユーザー層に効果的なSNSマーケティングの手段です。世界・日本の人気SNSランキングに入っているTikTokを上手に活用すれば、ECサイトの認知度を高めることができます。ここでは、初心者向けにTikTok広告の特徴や種類、出稿方法と共に、TikTok広告の費用相場、事例などを紹介します。
TikTok広告とは?
TikTok広告とは、TikTokアプリとTikTok For Businessが運営するモバイル広告プラットフォーム「Pangle(パングル)」に出稿できる広告です。短い動画を作成・シェアできるTikTokは若いユーザー層に人気があることが知られています。近年ではレシピやトレンド情報、ビジネス情報などコンテンツの幅が広がり、若年層以外のユーザーが増加傾向にあることがわかっています。博報堂のコンテンツファン消費行動調査によるとユーザーの平均年齢は36歳という結果が出ていることから、若いユーザー層を中心に幅広い年代層への宣伝効果が期待できます。
TikTok広告の特徴
BGM付きショートムービーの広告形式をとる
TikTok広告は、BGM付きのショートムービー形式の動画広告です。画像や文字だけの広告と異なり、短時間で商品やサービスの特徴を伝えられます。ターゲット層に人気のBGMが使えるため、閲覧者の印象に残りやすいのもTikTok広告のメリットです。BGMを選ぶときには、TikTok動画に使いたいサウンドの見つけ方が参考になります。
TikTok広告自体をコンテンツとして楽しんでもらえる
TikTok広告は、一般の投稿と同じ形式をとるため、広告自体がコンテンツとして認識されやすい特徴があります。そのためユーザーからの「いいね」や「コメント」などの反応を得やすく、TikTok上だけではなく他のSNSでも拡散が期待できます。TikTok広告は短い動画形式のため最後まで閲覧してもらえるほか、集中して画面を見ているユーザーが多く、広告の内容が伝わりやすいというメリットもあります。
UGCによる拡散が期待できる
UGCとは、「User Generated Content」の略で、消費者である一般ユーザーによって作られたコンテンツのことを指します。TikTok広告には、ハッシュタグをつけて投稿を促すユーザー参加型の広告があり、UGCが発生しやすいという特徴があります。広告っぽさを出さずに商品やサービスを拡散することができるため、認知度アップや売り上げにもつながります。
UGCはインスタマーケティングでも重要視される手段の一つとして知られています。
TikTok広告の種類
TikTok広告は大きく以下の2つに大別されます。
1. 予告型広告(純広告)
予告型広告は純広告とも呼ばれ、広告を決められた期間配信する広告形態です。TikTok広告の予約型広告には、リーチを増やす目的のものと、エンゲージメントを増やす目的のものがあり、全部で6つに分類できます。
リーチ(広告閲覧者)を増やす
- Top View:1日1社限定で使用でき、TikTokアプリを起動後最初に表示されるインフィード動画広告(おすすめ欄に表示される広告)です。音声付きで最長60秒間流せます。
- 起動画面広告:1日1社限定で使用でき、アプリ起動時に最初に表示されます。動画だけではなく静止画を使うことも可能ですが、音声は再生されません。
- Brand Premium:ランディングページやアプリストアへの誘導に適する動画広告です。おすすめの上位80位以内に表示されます。
- One Day Max:指定した1日限定で、インフィード広告の4番目に表示できます。最大60秒のフルスクリーン動画が掲載できます。
エンゲージメント(広告へのコメントやいいね、シェアなどの反応)を増やす
- ハッシュタグチャレンジ:ユーザー参加型で、特定のハッシュタグにちなんだ動画作成を提案し、そのハッシュタグを付けて投稿をするように促す広告です。UGCを集めやすく、エンゲージメントを高めるのに最適です。ユーザーの共感を集めやすく、大規模なブランド戦略に使用されます。
- ブランドエフェクト:2Dや3D、ARなどを用いたコンテンツを利用して、商品の使用感シュミレーションやブランドの世界観を体感できるように工夫した広告です。ハッシュタグチャレンジと組み合わせてブランド構築としても活用されます。
2. 運用型広告
運用型広告とは、広告主がオークション形式で入札したい広告枠を確保する広告形態です。
TikTok広告の運用型広告は、目的に合わせて以下の7つの配信方式から選ぶことができます。
- リーチ
- 動画視聴数
- トラフィック
- アプリインストール
- リード生成
- コミュニティインタラクション
- コンバージョン数
また、TikTok広告は細かくターゲティング設定がおこなえるというメリットがあります。ユーザーがアプリ内でとった行動をもとにしたターゲティング設定は、TikTok広告特有の機能で、他のSNSや広告媒体にはほぼありません。商品やサービスを知ってもらいたいターゲット層のユーザーに、効果的にアプローチできます。
TikTok広告の出し方
1.ビジネスセンター開設
ビジネスセンターとは、広告管理に使用する広告マネージャーを複数管理するためのツールです。商品やブランド、イベント毎に複数の広告マネージャーを利用したい場合のみ、ビジネスセンターの開設が必要です。
2.TikTok広告マネージャー開設
TikTok広告を利用するためには、広告用アカウントを作成し広告マネージャーを開設することが必要です。業種やビジネス名、電話番号、メールアドレスなどの必要事項を入力し、承認されると登録完了となります。
3. 広告の目標設定
TikTok広告を出稿する目的を選択します。選択肢は以下の4つです。
- トラフィック:ウェブサイトのターゲットページに集客するための広告です。
- コミュニティインタラクション:ページのフォロワーやプロフィール訪問者数を増やすための広告です。
- リード生成:商品やサービスに関する問い合わせを促す広告です。
- ウェブサイトのコンバージョン数:商品購入や会員登録など、自社ウェブサイトやECサイトへ誘導し行動を促す広告です。
4. オーディエンス設定
オーディエンス設定には、カスタムオーディエンスと自動オーディエンスの2種類があります。
- カスタムオーディエンス:ターゲットユーザーがはっきりしている場合はカスタムオーディエンスを選びます。ユーザーの性別や年齢などの基本情報に合わせた広告配信ほかに、ユーザーの興味関心や行動に合わせてターゲティングをおこなうことも可能です。
- 自動オーディエンス:TikTokのシステムが自動でビジネスに合うと思われるユーザーを見つけてくれます。ターゲットがはっきりしていない場合に使用します。
5. 予算・スケジュールの設定
1日当たりの予算、またはキャンペーン全体の予算のどちらかを選択し、広告費を設定しましょう。広告の配信期間もこの時に設定できます。予算・スケジュールの設定が完了したら、アカウントが承認されるのを待ちましょう。承認には、通常数時間〜1日程度かかります。
6.支払い方法の設定
承認メールが届いたら、支払い方法の設定をおこないます。支払い方法にはクレジットカードまたはデビットカード、ペイパルがあります。希望の支払い方法を選択し、情報を入力しましょう。
7. 広告設定
TikTok広告の設定には、3つの手順が必要です。
1.ピクセルとイベント設定
広告を出稿する前に、ピクセルとイベントの設定をおこないましょう。ピクセルとは、ウェブサイトに貼り付けるコード(英数字の羅列)のことです。新規顧客の開拓やキャンペーンの最適化、広告の効果測定などを行うために使用されます。次にイベント設定では、広告を通してどのような行動をユーザーに起こしてもらいたいかを選択します。
2.広告クリエイティブ設定
TikTok広告では、管理画面から広告用の動画を編集できます。使用したい動画がある場合はビデオクリエイターを選択し、動画素材をアップロードし、テキストや音楽を追加したり、編集したりして動画広告を作成しましょう。使用したい動画が手元にない場合は動画テンプレートから作成することも可能です。
3. 広告の審査
広告に使用する動画の準備が完了したら、広告の審査が始まります。審査には通常1日程度の時間がかかります。
TikTok広告のサイズ
TikTok広告に使用する画像や動画は、入稿規定に沿って作成しなければなりません。主な規定には以下のようなものがあります。
- アスペクト比(縦横比):9:16(縦型)、16:9(横型)、1:1(正方形)のいずれか。
- ファイル形式:.mp4、.mov、.mpeg、.3gp、.aviのいずれか。
- ファイルサイズ:500MB以内。
- 動画の長さ:5~60秒ですが、9~15秒の短い動画が推奨されています。
- アプリ名またはブランド名:アプリ名は半角4〜40字、全角2〜20字です。ブランド名は半角2〜20字、全角1〜10字で入力します。絵文字は使用不可で、句読点やスペースは文字として数えられます。
- 広告説明文:半角1~100文字、全角1~50文字(絵文字や特殊文字は非対応、句読点やスペースは文字として数えられる)で入力します。
このほか、TikTokビジネスヘルプセンターのサイトでは、画像や動画広告の規定を一覧表で確認できます。
TikTok広告の費用相場
TikTok広告の費用相場は、出稿する広告の種類によって異なります。
- Top View:1日625万円程度(最低出稿金額500万円)。
- Brand Premium:1日42万円程度。
- One Day Max:1日300万円程度。
- 起動画面広告:1000インプレッションごとに770円のインプレッション型課金です。大勢のユーザーに閲覧してもらえることから、費用は想定1日500万円程度。
- ハッシュタグチャレンジ(2ヶ月の期間契約の場合):スタンダードチャレンジ1500万円程度、ハッシュタグチャレンジプラス1700万円程度、バトルハッシュタグチャレンジ2000万円程度、ベーシックハッシュタグチャレンジ1000万円程度。
- ブランドエフェクト:380万円程度。
- 運用型広告:クリック課金の場合1クリックにつき30~100円程度、インプレッション課金の場合1000インプレッションごとに100円~1000円程度、再生課金の場合1再生あたり3~20円程度。
TikTok広告の成功事例
花王のビオレUV
花王のビオレUVは、2021年からTikTok広告を活用して商品のプロモーションをおこなっています。2021年に販売を開始した「ビオレUV アクアリッチ アクアプロテクトローション」のプロモーションでは、ブランドエフェクトとハッシュタグチャレンジを利用して商品認知度拡大に成功しています。認知度拡大だけに留まらず、美容系クリエイターとタイアップした商品レビュー動画を作ることで「TikTok売れ」を実現した商品です。
大塚製薬のファイブミニ
大塚製薬のファイブミニは、若い女性を中心にTikTok上で人気が集まり、TikTok内で自然発生的に話題となり売り上げを伸ばしました。何もしていないのにコンビニの1日の売り上げが2倍になるといった現象が起き、その後、TikTok広告を出稿したことにより、さらに売り上げを伸ばしています。起動画面広告を活用し、ファイブミニ6本入り1パックを1000名に配るなどのサンプリングキャンペーンもおこないました。その結果、ターゲットの若年層だけではなく、30代からの応募もあるなど幅広い年代層にアピールできたようです。
ドン・キホーテ
総合ディスカウントストアのドン・キホーテは、店頭で使用するPOPのキャッチコピーをTikTokで募集する店頭連動キャンペーンを行いました。ドン・キホーテの社員と人気TikTokクリエイターが対象商品を紹介する動画を作成し、コメント欄で商品キャッチコピーを募集することで、TikTok動画のコミュニティ化に成功しています。「#みんなでドンキのPOPつくってみた」というハッシュタグの活用も、認知度アップに貢献しました。
ネスレ日本のキットカット
キットカットは、TikTok広告の活用で「TikTok売れ」を実現した商品の一つです。2023年におこなわれた販売開始50周年の節目のプロモーションでは、50周年記念の新商品「キットカット ミニ よくばりダブル 全粒粉ビスケットin & オリジナル」をアピールするために、ハッシュタグチャレンジ「#キットカットチャレンジ」を開催しました。強い拡散力で商品を多くのユーザーに認知してもらったことで、動画の視聴回数は約9000万回にのぼり、新商品だけではなく定番商品の売り上げ増加にも成功しています。
モンスターストライク
モンスターストライクは、10周年プロモーションとしてTikTok広告を活用し成功した例の一つです。「#祝モンスト10周年」というハッシュタグを使った投稿キャンペーンを実施し、1か月弱で総再生数2500万回、総投稿数1700件を記録しています。短期間で多くのユーザーの目に留まり、UGCを増やすことに成功しました。
ニトリ
来客数増加を目指してTikTok広告を活用し、実現した企業にニトリがあります。ニトリはTikTokクリエイターを起用し、生活者目線での商品の紹介動画を投稿しています。ターゲットを新社会人や新入学生に絞ることで、新規顧客獲得を狙い、実際に若年層の来店が2倍に上昇するという成果を上げています。
サントリーのビアボール
サントリーのビアホールは、2022年11月にTikTokで注目を集めた商品の一つです。人気のTikTokクリエイターを起用してビアホールの楽しみ方を紹介する動画を公開し、「#ビアボール」のハッシュタグがつけられた動画が拡散されました。動画には、いいねやコメントをしたくなるようなコンテンツを盛り込むことで、ユーザー同士のやりとりが発生するような工夫がされています。このことによりUGCが増え、消費者の商品購入と、更なる拡散につながりました。
まとめ
幅広い年代層でのユーザーを増やしているTikTok上での広告出稿は、ECサイトの売り上げアップや自社サービスの認知度向上にもおすすめです。TikTokでバズる時間とは?や【2024年版】TikTokでバズる方法も参考にしながら、TikTok広告の出稿を検討してみてください。
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TikTok広告に関するよくある質問
TikTok広告にかかる費用は?
TikTok広告にかかる費用は、予告型広告(純広告)の場合1日42万円~2000万円程度です。運用型広告でクリック課金の場合は、1クリックにつき30~100円程度、インプレッション課金の場合は、1000インプレッションごとに100~1000円程度、再生課金の場合は1再生あたり3~20円程度です。