通販にはネット通販以外に、カタログや新聞などの紙媒体の通販やラジオなどさまざまな通販チャネルがあります。しかし、通販を利用したビジネスを始めたいけど、通販のやり方がわからずに悩んでいる方も少なくありません。
そこでこの記事では、通販の基本的な概要から、ECとの違い、単品通販と総合通販の特徴、さらに各販売チャネルの種類や通販ビジネスの始め方について解説します。
これから通販を活用して商品をネットで販売したい方やネットショップの開業を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
通販とは
通販とは「通信販売」の略で、メディアやインターネットなどで商品やサービスを広告し、電話やウェブサイト、郵便などの通信手段を利用して商品購入の申し込みを受ける取引のことです。ただし、電話で商品の勧誘をする電話勧誘販売に該当するものは通販には含まれません。
インターネットが広く普及するまでは、テレビショッピングやカタログを利用した通販が主流でしたが、近年はインターネットを利用したネット通販が一般的になっています。
ECと通販の違い
ECとは、「Electronic Commerce(エレクトロニック・コマース)」の略で、日本語では「電子商取引」を意味します。インターネットを介して商品やサービスの取引が行われるもの全般を示し、通販の中に含まれるECサイトやオークションサイトはその代表と言えるでしょう。通販との違いは、商品販売のほかにも動画配信や旅行代理店、フードデリバリーなどのサービスも、ECに含まれるという点にあります。
総務省の調査によると、ECサイトの利用率は全世代で70%を超えており、現在ではECサイトが最も身近な通販の手段となっています。
単品通販と総合通販とは
単品通販とは、特定の商品ジャンルに限定して販売する方法です。商品を限定することで各商品のランディングページが作成しやすくなり、詳細な商品情報を顧客に伝えることが可能です。また、ターゲット層を絞りやすいため、SNSマーケティングやブランディングを行いやすい特徴があります。化粧品や健康食品の単品通販が多く見られます。
総合通販とは幅広い商品を多数取り扱う方法で、幅広い層をターゲットにした販売方法です。例えば、ファッション、化粧品、家具など多岐にわたる商品が一つのECサイトに集められて販売されます。ただし、多様なターゲット層に対応するために商品ごとの広告戦略を考える必要があり、競合サイトと同じ商品を取り扱うため価格競争に巻き込まれるリスクも高い傾向にあります。
通販の特徴
通販は、実店舗経営に比べて低予算・低リスクで始められるのが特徴です。実店舗や販売員が不要なため、家賃や人件費などの固定費を削減できます。さらに、ドロップシッピングを利用すれば、在庫管理、受注、梱包、発送まで一括してサプライヤーに代行してもらうことができるため、その分マーケティングや販売戦略に集中できるようになります。
また、ECサイトの通販なら24時間注文を受け付けられるため、販売機会を逃す可能性が低くなる点もメリットです。SNS広告などを利用することで、店舗のあるエリアに限定されることもなく、より広範囲に商品の宣伝が可能となります。
店舗販売とは異なり、通販では顧客情報を容易に収集でき、継続的なコミュニケーションが取りやすいという特徴もあります。店舗販売で顧客情報が収集できるのは、会員登録やポイントカードの利用時などに限られ、得られる情報も限られています。しかし、通販では会員登録時や購入時の情報はもちろんのこと、サイト訪問やサイト内での行動についてのデータも収集することが可能です。これにより、エンゲージメント率や離脱率の高いページを把握してサイト改善に生かすことができ、カゴ落ちメールなどのメールを通じて効果的な接触も可能になります。
通販の販売チャネル7選
通販の主な販売チャネルの特徴とデメリットを紹介します。
1. インターネット
通販で最も利用されている販売チャネルが、ネット通販です。時間に縛られないため機会損失も防ぐことができ、海外販売もできます。また、商品説明の文章とともに、画像や動画、レビューなどを盛り込むことで、紙媒体の広告やカタログに比べて魅力が伝わりやすい商品ページを作成できます。ただし、高齢者などデジタル技術に不慣れな方には利用されにくい傾向にあります。
2. テレビ
通販にテレビを活用する方法には、テレビショッピングやCMがあります。テレビ放送を通じて視聴者が購入したい商品を見つけた場合、電話やインターネット、郵便を通じて申し込みを行います。テレビの強みは、一度に多くの視聴者に商品をアピールできるとともに、公共の電波にのったという事実が知名度や信頼性のアップにつながる点です。
一方で多額の資金が必要であり、CMや番組の制作費に200万円、放送には1回限りのスポットCMで200万円から、レギュラー番組のスポンサーとなるには数億円かかると言われています。また、テレビ離れが進む若年層には訴求しにくいという側面もあります。そのため、ターゲット層によってはテレビ以外の手段が適していることもあります。
3. カタログ
紙媒体のカタログ通販は、インターネット通販が主流になっている現在も根強い人気があります。デジタルに慣れていない高齢者などの顧客には利用しやすいという点や、特集や読み物を取り入れた構成で、一度購入した顧客へカタログを定期的に送付して雑誌のように「読む楽しさ」を提供している点が、人気の理由です。
1ページずつめくりながら商品を見るため、目的以外の商品にも自然と目がいきやすいこともメリットのひとつです。しかし、紙の印刷費用や修正の難しさがデメリットとなり、最近では紙カタログ単体ではなくECサイトと併用してデジタル化しているものが増えています。
4. ダイレクトメール
ダイレクトメールは、顧客に直接チラシや手紙、メールを送って商品やサービスをアピールする方法です。送付先は過去に購入したことがある顧客や関連商品・サービスの利用者であり、一人一人の顧客に直接アプローチして利用を促せることがメリットです。ただし、印刷費用がかかるとともに、ダイレクトメールを見られずに捨てられてしまうリスクがあります。
5. 新聞広告
新聞広告は、紙面に掲載される広告を活用して販売促進する方法です。この新聞広告に、チラシ広告は含まれません。新聞広告の強みは読者からの信頼性が高い点であり、中高齢者をターゲットにしたサービスに向いています。掲載費用は全国紙の場合で、小型の1段広告で100万円から、2ページにわたる全面広告では2,000〜5,000万円と言われています。また、細かいターゲティングが難しく、購入経路の分析が難しいというデメリットがあります。
6. 雑誌広告
雑誌広告は、雑誌の読者層とターゲットが一致すれば高いマーケティング効果が期待できます。また、雑誌は手元に保存して何度も読み返す読者が多いため、一度掲載すればしばらくの間、注文が入り続ける可能性が高まります。ただし、情報の修正が難しく発売までに時間がかかるため、短期的なプロモーションには向いていません。また、掲載費用は雑誌の発行部数や広告のサイズ、カラーかモノクロかによって変わり、50〜300万円程度と言われています。
7. ラジオ広告
ラジオ広告は、地域密着型の商品やサービスに適した販売チャネルです。放送時間やエリアを絞ることで、特定のニッチなターゲット層に届きやすくなります。また、ある調査によればインターネット広告に比べて企業や商品に親しみがわきやすく、信頼されやすいという特徴もあります。しかし、運転中や作業中にラジオを聴く人も多いため、放送後に注文を受け付けるという通販の仕組みとは、相性が悪い可能性も考えられます。
通販の始め方
通販を始めるにあたって必要なステップは主に4つです。
- 販売チャネルを決める
- 必要なシステムを導入する
- 配送方法を決める
- 広告戦略を決める
売りたい商品やサービスに合った販売チャネルを選択しましょう。例えば、テレビや新聞は視聴者や読者からの信頼が強いため、知名度や信頼性の向上につながりやすくなります。ただし、テレビショッピングのように電話で注文を受けることがメインの場合、オペレーターや注文用紙の準備が必要です。その点、注文管理をシステムに任せられるインターネット通販(EC)は非常に便利です。
通販を始める際には、ネット上でスムーズに会計を完了できる決済システムの導入がおすすめです。クレジットカードや電子マネー、後払いなど、さまざまな支払い方法を選べるようにすると、顧客の利便性が向上します。さらに、受注から出荷までの工程を一括管理してくれる受注管理システムの導入も、業務の効率化に大いに役立ちます。
次に、商品をどのように顧客に届けるか、配送方法を決める必要があります。在庫管理から発送まで一括して代行してくれるドロップシッピングや、Amazonや楽天市場などのECモールと連携している配送サービスを活用する方法、物流業者と直接契約する方法などがあります。ビジネス形態や規模に合わせた配送方法を選ぶと良いでしょう。
顧客にスムーズに商品を届ける準備が整ったら、次は商品の宣伝に取り掛かります。例えば、Instagramでショップのアカウントを作成し、商品の魅力を投稿することでフォロワーを増やし、無料で宣伝を行うことが可能です。有料広告も活用することで、より多くの潜在顧客にアプローチできます。無料広告と有料広告には以下のようなものがあります。
- テレビCM
- 雑誌の広告
- SNSを活用した広告(Instagram広告、Facebook広告、YouTube広告、TikTok広告など)
- バナー広告
- Googleビジネスプロフィール(無料)
- Googleショッピング(無料)
まとめ
近年、通販ではネット通販が主流となっていますが、ターゲット層や販売する商品によっては、雑誌、新聞、ラジオなどの他の販売チャネルも有効な選択肢となります。通販のメリットは、実店舗を構える場合よりも固定費を抑えながらエリアを問わずに販売できる点です。
特に、ネット通販を導入する場合には、簡単にネットショップを開設できる Shopify(ショッピファイ)が最適です。Shopifyを利用すれば、InstagramやPinterest(ピンタレスト)などのSNSや、楽天市場などのECモールと自社ECサイトを連携できるため、効果的なマルチチャネルやクロスチャネル戦略を展開できます。
今回紹介した通販のやり方などを参考に、商品やターゲットに合った形でビジネスを始めてみましょう。
よくある質問
ECと通販の違いは?
ECと通販の違いは、ECはインターネットを介した取引全般を指し、商品販売以外にもサービス提供なども含まれるのに対し、通販は電話や郵便などインターネット以外の通信手段も含む商品取引のことを指すという点にあります。
無料で通販ビジネスを始められるサイトは?
通販ビジネス向けに無料でホームページ作成ができるサイトには以下のようなものがあります。
- Yahooショッピング:初期費用、月額費用、売上ロイヤリティが無料で、決済サービスや有料オプションの利用に費用が発生
- BASE(ベイス):初期費用、月額費用が無料で、決済時や振込などに手数料が発生
- Creema(クリーマ):初期費用、月額費用、出店料、出品料が無料で、売れた場合の販売手数料が発生
文:Momo Hidaka